断幹作業時、ロープに吊るした丸太は
勢いよく地面に向かって落ちていきます。
100kgの丸太を地上20mから落下させると、
地面に衝突する寸前のスピードは時速72km。
地面にめり込む力は1980kgm/s。(地面の吸収量は無視します)
この落下衝撃力を減少させていく技術が
ロアリング(Lowering)です。
Low (抑える)のing(現在進行形)です。
ポータラップの筒にロープを巻き付け、
そこに発生する抵抗力を利用して
丸太の落下スピードをコントロールします。
言葉では簡単ですが
経験者の方はお分かりの通り、
このロアリング技術、一筋縄でいきません。
「ちょっと怖い」と
巻きすぎて落下制動量が強すぎると、
樹上のクライマーが激しく揺さぶられ
危険な目に合わせてしまいます。
一方、「こんなもんかな?」
落下制動量が弱いと
地上構造物を壊したり、
グランドワーカーが指を火傷してしまいます。
したがって丸太の落下直後から制動が始まり、
徐々にその制動力が大きくなり、
最後には「スーピタッ」と
丸太が止まるのが理想です。
この制動技術は
①金属筒にロープを巻く回数と
②ロープの握り具合の
両方がポイントになります。
前回の改善点を生かしたいのですが、
断幹作業は毎回
①切り取る丸太の重さが変わってしまうのと、
②落下距離も短くなるので
全く同じ条件で練習できません。残念!
そこで、【同じ条件で練習できる】
ようにしました。
毎回100kgの丸太を使って練習できるので、
参加者の皆さんは様々な実験をします。
ポータラップの巻き数を変えてみたり、
新型のボラードを使ってみたり、
同じ巻き数でもポータラップのサイズを変えてみたり
等など。
「ああやったらどうだろう?」
「こうやってみたら?」
【仮説】
【その根拠】
【実験】
【検証】
このサイクルを繰り返して
参加者同士でアイデアを出し合い、
チームの力で【答え】を探ってていく。
その過程を見ている私もワクワクしてきました!!!
回を重ねるごとにみるみる上手になっていき、
初心者の方でも2日目の午後には
理想的ロワーリング「スーピタッ」を
習得していただきました!!!
是非
安全なロアリング技術を習得して、
クライマーが揺れない、
グランドワーカーが火傷しない、
構造物を壊さない、
こんな安全作業に繋がってほしいです。