カテゴリー別アーカイブ: ポータラップ

Vol7 【美しいロアリングとは】

研修の目標は
「美しいロアリングです」

ポータラップマイスター研修に
参加されたKさんが発表すると
「うぉー!カッコいい!」
ドヨメキの声が上がりました。

断幹作業の美しいロアリングとは
 なるべく幹に当てず
 途中で丸太が一瞬止まることもなく
 構造物の手前でゆっくり止まる。

この美しいロアリングを目指して
研修参加の7名様が
そのコツを
書いて書いて書きまくりました。

一回実験するごとに
チーム内で丸太の動きを検証し
改善点を出し合います。

そして、2日目のお昼には
この「美しいロアリング」を
参加者のTさんが披露してくれました。
パチパチパチ!

まさしく、
チーム力と文章化の成果が
発揮された瞬間です!

私は大事なことは必ず手書きで残します。
以前はアプリなどで入力するデジタル派でした。
でもキーボードで入力すると
全く覚えてないんです。

ところが
同じことを手書きにすると
なんとなく憶えている!

コレは脳科学で証明されています。
記憶を司る海馬の働き方が違うそうです。

筆圧、
ペンと紙の抵抗、
字の形(字が下手だな~)

こんな情報が一緒にinputされるので
憶えている確率が高いと感じます。


いま冷蔵庫にある食材を
冷蔵庫の扉の「メモ」に書いて貼っている友人がいます。
そして
買い物に行く前は、
冷蔵庫の扉を開けずに、
その「メモ」をチェックするそうです。
そうすると、
スーパーで「あれ?お豆腐あったかな?」
と考える時間が無いそうです。

「中身を見るのと、
メモを見るのとは何か違いがありますか?」

と尋ねると、

 「それが不思議なことに、
 見たものは忘れるんですけど、
 書いた内容は覚えているんですよね」

最後までお読みいただいて、ありがとうございました。

Vol6 【ポータラップのマイスターになる】

断幹作業時、ロープに吊るした丸太は
勢いよく地面に向かって落ちていきます。

100kgの丸太を地上20mから落下させると、
地面に衝突する寸前のスピードは時速72km。
地面にめり込む力は1980kgm/s。(地面の吸収量は無視します)

この落下衝撃力を減少させていく技術が
ロアリング(Lowering)です。
Low (抑える)のing(現在進行形)です。

ポータラップの筒にロープを巻き付け、
そこに発生する抵抗力を利用して
丸太の落下スピードをコントロールします。

言葉では簡単ですが
経験者の方はお分かりの通り、
このロアリング技術、一筋縄でいきません。

「ちょっと怖い」と
巻きすぎて落下制動量が強すぎると、
樹上のクライマーが激しく揺さぶられ
危険な目に合わせてしまいます。

一方、「こんなもんかな?」
落下制動量が弱いと
地上構造物を壊したり、
グランドワーカーが指を火傷してしまいます。
 
したがって丸太の落下直後から制動が始まり、
徐々にその制動力が大きくなり、
最後には「スーピタッ」と
丸太が止まるのが理想です。
 
この制動技術は
①金属筒にロープを巻く回数と
②ロープの握り具合の
両方がポイントになります。
 
前回の改善点を生かしたいのですが、
断幹作業は毎回
①切り取る丸太の重さが変わってしまうのと、
②落下距離も短くなるので
全く同じ条件で練習できません。残念!
 
そこで、【同じ条件で練習できる】
ようにしました。
 
毎回100kgの丸太を使って練習できるので、
参加者の皆さんは様々な実験をします。

ポータラップの巻き数を変えてみたり、
新型のボラードを使ってみたり、
同じ巻き数でもポータラップのサイズを変えてみたり
等など。
 
「ああやったらどうだろう?」
「こうやってみたら?」
 
【仮説】
【その根拠】
【実験】
【検証】
 
このサイクルを繰り返して
参加者同士でアイデアを出し合い、
チームの力で【答え】を探ってていく。

その過程を見ている私もワクワクしてきました!!!

回を重ねるごとにみるみる上手になっていき、
初心者の方でも2日目の午後には
理想的ロワーリング「スーピタッ」を
習得していただきました!!!

是非
安全なロアリング技術を習得して、
 
クライマーが揺れない、
グランドワーカーが火傷しない、
構造物を壊さない、
 
こんな安全作業に繋がってほしいです。 

Vol5 【もう火傷したくない】

クライマーから「上手い!」と言われたい
グランドワーカーさんへ
 
ポータラップは練習が9割!
「思い通りに幹が止まる」
「クライマーから絶賛される」
「指が火傷しない」
 
ツリーワーカーの才能を開花させ
事故のリスクを極限まで減らし
作業効率を3倍にする
「ポータラップマイスター」養成講座を開催します。
 
講座の詳細は「研修会スケジュール」を見てくださいね。


本題です。
今回の仕事はお寺の脇にある大きなスギの伐採搬出。
胸高直径80cm、樹高は30mといったところでしょうか
空間が開いている本坊側に
枝がびっしりついていました。

「結構でかいな。」
これが第一印象です。

でも対象木は大きいですが普通に断幹すれば処理できます。
「多分、大丈夫、、、」

クライマーが一番上の梢の断幹作業に入りました
重量は約120kg。
「よーし、ポータ巻いて!」

クライマーの合図に
私はポータラップにロープを2.5巻しました。
 
本坊に向かって倒れていく梢の落下スピードを
制御しようとロープを握ったとき、
事故が起こったのです。


梢が激しく幹にぶつかり
樹上のクライマーが大きく揺さぶられ、
すぐ隣りの立木にぶつかりました。

「何やってんだー、巻き過ぎなんだよー」

クライマーが怒るのも当然です。
 
「次こそはうまくやる」
私はポータラップにロープを1巻して挑みました。
その結果は、、、
落下していく幹のスピードに
握っていたロープを支えきれず、
間一髪屋根の脇をすり抜け地面に突き刺さった幹。
「セーフ」
ホッとしたのも束の間、
自分の手のひらを見ると私の指は火傷して皮がめくれています。
 
こんな事故は私で終らせたいのです。
ある人は「センスの問題」「経験不足」と言いますが、
それではいつまでたっても事故は無くなりません。
絶対に科学的練習方法があるはず!
そこからこの講座の構想がスタートしました。